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2011.02

【コラム】人口が100万人を割り込んだ和歌山の危機

今、私たちのこの日本の現状について、特に人口にかかる問題については、様々な調査機関、シンクタンクなどから警鐘が鳴らされる状況にあります。

昨年12月、国土交通省は、2050年時点の「人口分布推計」を、国土審議会の長期展望委員会に示していますが、その推計によると、2050年には、今、人が住んでいる地点の66.4%、何と6割を超える地域で人口が半分以下に激減するということで、日本の特に地方においては、そのほとんどが人口半減の、しかも超高齢化地域となってしまう、ということです。さらに、その2割を超える地域では、町・村そのものが無くなり無人化する、という大変な未来が示されています。そもそも少子化に起因する絶対人口の減少、そして都市への人口集中が今後、加速度をつけて進んで行く事が予測されていて、これがまさに今の日本の現実です。

また今、民間からも、注目される発表が相次いでいます。

今の日本のデフレ状況を人口問題の視点から鋭く分析されているのは、以前、この本会議場でもご紹介した、日本政策投資銀行の藻谷浩介さんです。

藻谷氏は、日本政策投資銀行に席を置き、私の高校時代の友人と同様の役職で仕事をされています。その関係で私自身ご縁をいただき、5,6年前からお話を伺う機会を持っている訳ですが、一昨年には、和歌山にお招きし、若い経営者の皆さんを前に講演も行って頂きました。

藻谷氏は、特に地域振興の分野を長く担当され、全国各地をくまなく歩いてきたその経験を生かし、昨年、その知見を統計数値で分析し解説した著書を出版され、それがベストセラーになっています。藻谷氏の指摘は今、各方面から注目を集め、今年の正月には、NHKで放送された特別番組でも取り上げられ、それは、これからの日本、和歌山にとっても重要な示唆を与えてくれるものとなっています。

今回出された本のタイトルは「デフレの正体」というものですが、その内容は、今の日本の問題の根本要因は、人口問題であり、人口構造の変化を読み解くところから日本経済が直面する課題を明らかにしています。

藻谷氏が指摘するポイントとしては、日本の問題は、1995年以降に始まった15~64歳の生産年齢人口の減少が何より重要な指標であり、これは裏返しとして、消費年齢人口の減少を意味している。これらの現象は、これまで経済論理で様々に解説されてきた、景気循環、景気の波、といったものを打ち消すほどの大きな影響を与えるもので、それぞれの地域によっては、致命傷となりかねない「内需縮小」が進行している、と指摘されています。今、「景気の波」を打ち消すほどの大きな「人口の波」が、日本経済を洗っていて、日本の再生、中でも特に地方の再生においても、人口問題を正面から捉える事の意義、その重要性を改めて指摘するものとなっています。

また、イギリスの経済雑誌『エコノミスト』でも、昨年11月20日号で、大々的に日本特集が組まれました。最近、特に海外において、日本の問題がことさら取り上げられる状況は少なく、まさにジャパンパッシングの状況ですが、有名経済誌で久しぶりに大々的に取り上げられたその内容は、メインタイトルとして、「The Japan Syndrome・日本症候群」で、サブタイトルには、「日本がこれから世界に与えられる最大の教訓は、人口減少と高齢化が経済成長力を吸い取る現実」というものです。

少子高齢化の問題は、あくまで日本だけの問題でなく、先進国の多くは同じ問題を抱えていて、日本の現状を精緻に分析する事によって「日本の教訓」を得て、新たな政策論議を始めないといけない、と警鐘を鳴らすものとなっています。その特集の中で、「日本人が理解していないのは、経済の病状が「歪んだ人口動態」と複雑に絡み合っていることで、この人口問題に取り組まない限り、日本の衰退はどうしようもない。」としています。

今の状況において、人口問題は、優先してフォーカスすべき重要な政策課題であり、個々の政策の枝葉末節を論じる事よりも、まずその根本原因に焦点をあて、そこから政策全体を見渡していく視点が重要であり、それは特に地方政府においても重要な指摘となります。そんな中、私自身、和歌山県でも、この人口問題について正面から受け止めて、真剣な議論をはじめるべきだと強く感じています。

和歌山においても、人口減少と高齢化が様々な地域の衰退の重要な要素となっていて、そのことを改めてクローズアップするところから、大所高所から政策全体を見渡して、それこそ選択と集中で、政策の優先順位も、更に明確にしていくための真剣な検討を進める。人口問題、といった切り口から、それを克服するためには、どういった未来像を描くべきか、未来の和歌山像をあらためて描きなおし、そのあるべき姿を明確にすることによって、今後和歌山県が進むべき新たな道筋も見えてくるのだと思います。

大切なのは、あくまで従来型のボトムアップの総花的政策対応だけでなく、和歌山における人口問題の本質を見極める努力から、トップダウン的な政策体系全体の見直しを行っていくことが重要な取り組みになります。

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